脳卒中後は運動イメージを鍛えよう!メンタルローテーションで空間や体の認識を高める!〜脳卒中つくばリハビリセンター〜
私たちが思い通りに運動するためには、
運動のイメージが正しく出来ていることが大切です。
運動をイメージするとは、
運動を、こんな感じかな?
と、意識して運動を想像することとはちょっと違います。
実は私たちが運動するときは、運動が起こる前に脳内で動きがイメージされ、
出来栄えを予測しています。
空間や体をしっかり認識出来ているほど、
運動イメージと実際の運動の結果が一致すると言われています。
この
運動イメージの一つに
メンタルローテーションがあります。
メンタルローテーション とは、ロジャー・シェパードとジャクリーン・メッシラーらによって発見され、二次元または三次元の物体を心的に回転させる能力のことです。
なかなか言葉が難しく聞こえるので、論より証拠!
以下の動画で体験してみましょう↓↓
いかがでしたか?
最初はスピードについていけず難しいかもしれませんが、
徐々に慣れてきますよ!
メンタルローテーションは、
生後5か月くらいから認識が可能になりはじめるという報告があります。
ちょうど寝返りが出来てくる時期ですね。
ランダムな2次元図形、英数字を刺激とした正像・鏡映像の識別課題や、
様々な方位で呈示された手が左手か右手かを判断する課題でも、
正立姿勢から回転角度が大きいほど反応時間が増加することが分かっています。
また、練習によってその時間は短縮することが可能とされています。
メンタルローテーションの課題を行なっているときのfMRIの計測によると、
両側の頭頂葉後部、前頭前野、運動前野などに活動が見られたと報告されています。
特に頭頂葉後部は、空間処理能力と身体認識に関連しています。
前頭前野や運動前野は運動に関わってきます。
つまり、
- 空間をまっすぐ捉えられているか、歪んでいないか!?
- 距離感はあっているか!?
- 左右の認識は正しいか!?
- 体の幅や大きさ、腕との位置関係!?
- 手の向きや置き場!?
など、これらをしっかり捉える能力です。
脳梗塞や脳出血によってこれらの脳の部位が損傷すると、
これらの能力が低下する可能性があるわけです。
メンタルローテーションは以下の5つの認知ステージに分類されます。
- 物体のメンタルイメージを作成する。
- 対象物と比較可能になるまでメンタルイメージを心的に回転させる。
- 対象物とメンタルイメージを比較する。
- 対象物とメンタルイメージが一緒であるか、鏡映像であるか決定する。
- 決定を報告する。
比較される物体は0°,60°,120°,180°のいずれかに回転してあることが多く、
同じ物体なのか、鏡映像なのかを速く正確に答えることが求められます。
最近の研究では、メンタルローテーションには複数の神経システムが関与しているとされています。
パーソンズは、人の腕の絵でメンタルローテーションテストを行った際、
不自然な方向に関節が曲がった絵では成績が低下することが発見されました。
この研究によって、メンタルローテーションは視覚情報だけでなく、
運動や触覚情報も重要であると判明しました。
正確に運動をこなすために、
メンタルローテーションで運動イメージを鍛え、
空間処理や身体認識の能力を高めましょう。