脳梗塞片麻痺の温泉旅行記①!達成するための秘訣!〜脳卒中つくばリハビリセンター〜
私達にとって温泉旅行は楽しみの一つです。
脳卒中片麻痺の方にとっても同じだと思います。
脳卒中片麻痺の方が温泉旅行を楽しむことは、
社会参加として生きがいを見出す、
大きなイベントの一つと言ってもいいかもしれません。
皆さんは、
温泉旅館というとどんな印象を持つでしょうか?
- 建物が凝った作りをしている
- 建物の入り口や中に段差がありそう
- 温泉も凝った作りをしていて、歩きづらい、入るのが危険
などの印象を持つかもしれません。
脳卒中の方からはこんな声を聞きます。
「温泉は怖くて入れないよ」
「移動が長くて歩くのが大変」
「段差ばかりで、とても行けないよ」
このような声を聞くと、
温泉旅館で温泉を楽しむことは、
少々ハードルが高い印象を受けるかもしれません。
最近では、バリヤフリーの温泉施設も増えてきてますが、
場所が限られており、
予約もいっぱいだったりで、
なかなか希望通り行けないこともあります。
さて、
脳卒中片麻痺の方が一般的な温泉旅館に行くためには
どんな準備と配慮をとると達成することが出来るのでしょうか?
今回は、
脳卒中片麻痺の方との実際の旅行をもとに、
健常の筆者が付き添った経験から、配慮すべき点を捉えます。
そして、
脳卒中片麻痺の方の温泉旅行を達成するための秘訣を
環境面と能力との関係からお伝えします!
CHECK
※本ブログはあくまで一考察であり、絶対条件を示すものではありません。個人の能力や介護者の有無、宿の環境によって大きく変わることをご理解ください。
下調べで達成はほぼ決まる
旅行の達成に向けて結論から言いますと、
下調べで達成はほぼ決まります。
さて、
これはどういうことでしょうか?
私達は旅行を計画するときに、
情報源として、
- ガイドブック
- インターネット情報
を参考にします。
または、
・旅行会社
・現地の旅館
に問い合わせて情報を得ます。
現地に行って下見ができたら様々な対策は立てやすいですが、
大体の場合は下見をすることはほぼ出来ません。
大抵は、旅行に行く前の下調べで予約をしますよね!
これは脳卒中の方も同じであり、
脳卒中の方の諸条件にあった情報が
どれだけ仕入れられるかで決まるわけです。
例えば、
- フロアや部屋の移動に困らないか!?
- 泊まる時に困らないか!?
- 食事は困らないか!?
- 温泉は入れるのか!?
これらの条件をクリアするために、
事前に情報を仕入れ、
→行動をシミュレーションして、
→安全にクリアできると判断した時に
ようやく予約できるわけです。
裏を返せば、
クリアする条件が得られなければ、
その温泉旅館を予約することは無いということです。
つまり、
下調べですでに達成までの軌跡が描かれているのです。
下調べの具体的情報と確認の必要性
大体の宿を決める条件として、
- 日程
- 場所
- 宿の様子
- 料理
- 泊まりの部屋条件
- 値段
- 温泉
- 周囲のレジャー施設
が主な項目だと思います。
脳卒中の方の温泉旅行も条件は大きくは変わりませんが、
これでは足りません。
では、何を確認すると良いのでしょうか?
ポイントは、
車椅子で入れるかどうかです。
なぜなら、
普段の生活では歩いて生活している方が、
遠出では車椅子を併せて使う方もいるからです。
旅行情報サイトや旅館のホームページで、
車椅子マークや出入りが可能などの表記されているか確認します。
車椅子で入れるということは、
バリアフリーに近い環境が整備されていると判断できるからです。
- 路面、床面は段差が無いように工夫されている
- ドアや部屋の通路幅が60cm以上確保されている
ということになります。
これは、
脳卒中片麻痺の方の移動手段が車椅子または杖歩行、あるいは併用だとしても、
障壁になりやすい環境面が配慮され、
物理的に動作が可能ということになります。
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これは重要ですね!
その他事前に確認をしておくとよいものに、
以下のようなことが挙げられます。
- 温泉旅館までの交通手段
- エレベーターの有無
- 部屋のタイプとレイアウト
- 部屋にトイレ、浴室が付いているか
- 食事の場所と内容
- 温泉浴場の形状
- 旅館内の移動経路と距離
これらの条件も、温泉旅行の達成を左右するため、
最低限確認が必要になります。
部屋のタイプは重要!
温泉旅行の楽しみというと料理や温泉に目が奪われがちですが、
温泉旅行の大半は、旅館の部屋で過ごすことになります。
そのため、部屋の環境の確認は重要になります。
部屋のタイプ | 洋室、和洋室、和室 | |
---|---|---|
フロア | 椅子(形状、座面の高さ)車椅子の折り返し | 畳(床からの立ち上がり) |
寝具 | ベッド | 布団 |
トイレ | ほぼ洋式(手すりの有無) | |
部屋の風呂 | 段差、シャワー、シャワーチェア、手すりの有無 | |
風呂のタイプ | 和風、和洋折衷、洋風 | |
洗面所 | 車椅子が洗面下に入るか入らないか | |
部屋内の段差 | どこに段差があるか(入り口、トイレ) |
洋室だから大丈夫だと思っていたら、
ベッドの横が狭く座れないレイアウトで寝起きに苦戦したとか、
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また、
和洋室はベッドもあるし大丈夫だと思っていると
畳上のベッドだったなど段差昇降が必要な場合もありますので、
見取り図などがあれば、しっかり確認しておく必要があります。
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トイレは様式だが、
手すりが無かった、
入り口に段差昇降や跨ぎ動作が必要で一苦労した
など、現地で見て初めて気付くことも非常に多いです。
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動作能力を踏まえて、部屋での過ごし方をイメージすることが大切です。
ホームページに載っている部屋の画像や口コミの情報も参考にすると、
対策準備が出来てよりイメージつきやすいと思います。
食事
食事は楽しみの一つですよね。
皆さんは、食事はどんなことに着目しますか?
やっぱり、料理の中身ですよね。
お肉、刺身、旬の食材等々・・・。
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食事の確認で大切なことを以下に挙げてみます。
- 食材
- 食形態
- 食べ方
- 食器
- 食べる場所
などです。
それぞれの中身を詳しくみていきましょう。
食材
食材は重要です。
薬との飲み合わせの問題です。
よく言われますが、脳梗塞の場合、
- ワーファリンと納豆
- 降圧剤とグレープフルーツ
- アルコールと服薬効果の増強
など、注意が必要です。
アレルギーがある方はなお注意が必要です。
命に関わってきますので、しっかり確認しましょう。
食形態
普段から一口サイズやきざみ、柔らかいものなど配慮している場合は、
食形態を準備する必要があります。
ついつい見栄えの良いボリュームたっぷりの料理に飛びついてしまい、
むせ込んだり、詰まることがありますので、焦らず、無理せず、
食形態を調整しましょう。
食べ方
食べ方は、普段のように食べれば問題無いのではと思いますが、
食べなれない現地の食材に馴染めないことや
こだわりの食べ方が出来ないこともありますので、
介助者や旅館の方に配慮してもらうことも必要になるかもしれません。
魚の皮
巻物
個人用の鍋
土瓶蒸し
動かせない熱い鉄板 等々
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料理の写真で事前に予測しておくことも大切です。
食器
普段使い慣れた食器とは違う器に盛られてくるため、
大きさ、形状、
両手が必要であったり、熱かったりと勝手が違ってきます。
基本的に箸が用意されますが、
箸が使えない場合、フォークやスプーンがついてこないこともあります。
もちろん借りることは出来ますが、
普段から自助具を使っている場合は、忘れずに持っていくことが必要です。
また、カニのように特殊な用具を使うこともありますので、
介助者や旅館の方に手伝ってもらうといいですね。
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お酒を嗜む方もいると思いますが、
いつもより気分が乗ってきて、
ついついお酒が進むこともありますので注意が必要です。
酔いが回って転ばないように十分気をつけてください。
食事の場所
食事の場所は、
- 部屋
- 食会場
の二つに分かれると思います。
移動が大変な場合や、グループでゆっくり楽しみたい方は
部屋食がオススメです。
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食会場の場合はどんなことに配慮する必要があるのか?
- 移動方法や距離
- 会場の状態(段差、カーペット、畳、通路幅)
- 食事の方式(バイキング方式、配膳個別食)
移動は、距離が長いと車椅子を使うと思いますが、
会食の会場が宴会場など畳の場合、段差昇降が必要になることがあります。
また、洋会場はカーペットが敷かれていて
車椅子では進みづらいこともありますので、
写真でチェックはしておきたいですね。
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バイキング方式は自分で選び、取り、運ぶことが必要になりますので、
独歩での運搬が必要になることも予測しておく必要があります。
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色々と配慮する点がありますね。
肝心の温泉は入れるの?
メインの温泉です。
部屋から移動して、別階の大浴場の温泉に入るパターンを考えてみましょう。
まず、どんな動作が必要になるか?
- 部屋から出る
- 廊下を移動する
- エレベーターに乗る(エレベーター操作)
- 大浴場まで移動する
- 脱衣場での更衣
- 浴場の移動
- 浴場のドアの開閉
- 洗い場での洗体
- 温泉場の出入り
以下、出て、着替えて、部屋に戻る
などが必要になります。
移動までは食会場の時と配慮する条件は
基本的には同じです。
脱衣所
では、脱衣所を覗いてみます。
まず、大浴場の脱衣所は広いですね。
更衣棚も何段にもなっています。
更衣動作自体に窮屈感はないことが多いですが、
手すりは設置されていないことが多く、
更衣のための立位バランスが必要になります。
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浴衣を着たい方もいると思います。
えりの重ね、ひも結び、帯締めなど必要になりますので、
しっかり両手が使えないと難しいかもしれません。
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また、整容などのアメニティは、
車椅子スペースが確保されていないことも多いため、
足元の確認が必要です。
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大浴場
いよいよ大浴場です。
入る前のドアの開閉に苦戦します。
引き戸はいいのですが、重いです。
また、ドアを開けた後、自動で閉まる場合も多いので、
移動やぶつかった際のバランスに要注意です。
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移動は慣れない床面に焦り努力的になりやすく、
代償動作が起こりやすいため、
場合によっては濡らしてもよい装具や杖を用意することも
視野に入れておく必要があります。
体の洗い場はどうでしょうか?
洗い場は、座れるかどうかです。
通常の風呂いすの場合は、座面が低いですね。
手すりを使わないと座るときや立ち上がる際に苦戦します。
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旅館によって、
介護用のシャワーチェアが用意されている場所もありますので、
確認しておくと安心です。
濡れたタオルを絞ることも必要になるでしょう。
温泉に浸かる時はどんな配慮が必要でしょうか?
浴槽の縁が幅広いく低いことがあります。
浴槽もお湯にどっぷり浸かれるように深いことがあります。
浴槽の縁に程よく座れる場合は、
一度座ってからお湯に入ることをお勧めします。
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麻痺の体はコントロール性が低下していると
大量のお湯の影響で体が固定されず浮いてしまいます。
体が動いてしまうと怖くなり溺れる危険性もあります。
いずれの場合も
手すりが設置されているそばで入ることをお勧めします。
介護者が必要な場合に確認すること
食事、トイレ、入浴など介助者がいれば
特に問題無いと思ってしまいませんか!?
公共の施設なので、自由が聞かないことがあります。
介助者の性別です!
温泉旅館は、温泉、トイレが男女別になります。
なかなか障害者用の設備が区分けされていません。
例えば、脳卒中の旦那様が大浴場に入るときに、奥様が付き添いはできません。
旦那様と同性の兄弟、息子さんが介助者として必要になります。
排泄は部屋のトイレを利用すれば事足りますが、
お風呂はどうしたらよいでしょうか?
貸切風呂が使えるかどうかです。
貸切風呂は基本的に身内の少人数グループが貸し切るため、
性別問わす介助が可能です。
時間との戦いもありますが、
貸切風呂の予約とお風呂場の環境が整っていれば入浴可能となるわけです。
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やっぱり温泉は入りたいですからね!
まとめ
今回は、
脳梗塞片麻痺の温泉旅行記①として、
脳卒中の方の温泉旅行を達成するための秘訣をお伝えしました。
何よりも事前の下調べが重要です。
今回お伝えした事以外にも配慮が必要なことは沢山ありますが、
障害を抱えていても、温泉旅行を楽しめる様にしたいですね。
次回は、脳梗塞片麻痺の方の実際の旅行記をお伝えします。