記憶の回路と学習

 

 

私たちは新しい物事に触れた時、

記憶として情報が脳内に残りますが、

数日後にはすっかり忘れてしまっていることが多々あります。

 

しかし、

楽しい思い出や辛い出来事は、

子供の頃の出来事であっても

よく覚えていることがあると思います。

同じ記憶なのに、どうして覚えていることや忘れることなどが起こるのでしょうか?

 

今回は記憶について、

記憶が形成される回路と学習についてお伝えします!

 

 

 

短期記憶と長期記憶

 

 

記憶には二つの貯蔵庫があると言われています。

一つは短期記憶の貯蔵庫。

もう一つは長期記憶の貯蔵庫です。

 

 

短期記憶

 

短期記憶は一時的に覚えている記憶のことです。

 

例えば電話番号を覚えたり、

相手の名前を聞いて覚えたりなどです。

 

その場面では覚えて情報を活用しますが、

数時間や数日たつとすっかり忘れてしまい。思い出せない情報ですね。

 

 

長期記憶

 

年単位にわたって長期間保持される記憶のことです。

 

その種類には、

経験に基づくエピソード記憶

言葉の意味や知識などの意味記憶

自転車の乗り方やスキーの滑り方など動作として身に付けた手続き記憶などがあります。

 

 

 

 

記憶の回路

 

 

脳内で記憶をする場所というと、

「海馬」を思い浮かべる方も多いと思いますが、

記憶には海馬の機能が単体で働くわけではありません。

様々な脳内の部位で情報のやり取りをするネットワークを形成して、

記憶情報を認識していくのです。

 

記憶の回路には、

海馬を中心とした神経ネットワークを形成するPapez回路と、

扁桃体を中心とした神経ネットワークを形成するYakovlev回路があります。

 

知識など新しい情報は海馬を中心としたPapez回路を介して記憶を形成していきます。

一方で、

嬉しいこと、楽しいこと、悲しいことなど

情動に関する記憶は扁桃体を中心としたYakovlev回路を介して記憶を形成していきます。

この回路は、情報を一気に長期化しやすい傾向があります。

 

感動の秘話は良き思い出として心に残りますよね。

また、

恐怖体験などはトラウマとして根強く残りますよね。

 

感情的なインパクトが強いほど、記憶が強化されます。

 

この二つの回路が相互作用することで、情報が記憶され、

想起が繰り返されることで記憶が定着していきます(図参照)

 

 

記憶定着の仕組み

 

 

記憶が定着する仕組みとして、

 

短期記憶が、言語、イメージ、シンボルなどの情報に変換され、

記憶のネットワークに組み込まれることで長期記憶になります。

 

これにはリハーサルといって、

同じ情報が反復して利用されることが必要です。

 

これにより、情報が前頭前野に伝達されることで、

長期記憶として貯蔵されます。

この情報が必要な時に取り出されるわけです。

 

 

 

記憶を効果的な学習に活かすために

 

 

前述の二つの回路が相互作用することで、

より多くのホルモンや神経伝達物質が分泌されます。

 

また、この二つの回路は

自律神経を調整する視床下部と連携しているため、

記憶が想起されることで発汗、動悸、緊張などの身体的反応が出現します。

 

その身体的な感覚情報は

より強い情報として記憶に取り込まれるのです。

 

例えば、

授業中に自ら発表しようとしてドキドキ緊張しながら挙手をする時や、

スポーツ大会で優勝した時に感極まって嬉し涙を流すこと、

突然犬に吠えられてビックリした時などは、

自律神経反応を伴って、感覚情報として取り込まれている時です。

 

すると、

次回同じような場面に遭遇すると、

発表の前にドキドキしたり、

優勝の味が忘れられなかったり、

犬を見ると吠えられるかもしれないなど、

記憶として蘇るわけです。

 

 

私たちが物事を身につけたり覚える時に

効果的な学習を進めるためには

失敗などの悲観的な記憶情報が再現されるのではなく、

 

「出来たあ」「やったあ」など

達成感充実感を伴うような正の強化学習が大切です。

 

 

 

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