調理は心を満たすもの!〜脳卒中つくばリハビリセンター〜

脳卒中片麻痺の方にとって、調理はハードルが高い生活動作の一つです。

なぜなら、麻痺の状態によっては、

長時間の立ち作業片手でこなすことになるからです。

また、

火の管理包丁の使い方など、危険と隣り合わせであり、

時間と戦いながら状況を判断する力も要求されるからです。

でも、

私たちにとって食事は基本的欲求であり、

生きるために無くてはならないものです。

そして、自分で作った料理には、

色々な想いが詰まっていますね。

温かい料理は、本当に心も満たされます。

今回は、実際のクライアントさんの生活を通して、

調理は心を満たすお話をご紹介します。

「セラピストはクライアントさんの生活を知ることが必要」

今回のクライアントさんは

脳梗塞発症から10ヶ月。左片麻痺が後遺症としてあります。

回復期の病院から退院し、自宅での一人暮らし生活を始めて、3ヶ月が経過。

HOPEは、麻痺の手足がもっと動くようになりたい。

身体機能の向上が何よりの希望!

徐々に生活のペースがつかめてくると、

今までに抱かなかった生活の望みが色々と生まれてきます。

その一つが食事です。

配食サービスのお弁当と、近隣家族の手作り料理のサポートで、

食事は補えています。

栄養バランスも良好。

でも、寒くなってきた季節には、

できたての温かいご飯が食べたいんです!!

この想いってスゴく大切ですよね!

家族のサポートもありがたい。

配食サービスも本当に大助かり。

一人暮らしを支える大きなサービスです。

でも、

食事の時間よりも早めに用意されている少し冷めたご飯を一人で食べるのは、

なんだか心寂しい。

このことがずっと続くことを考えると、

クライアントさんに湧き上がる想いがありました。

”よし、自分で温かい料理を作ろう”

買い物は家族にスーパーまで付き添ってもらい、

店内を歩いて移動。

食材を自分で選びます。

調理は火の管理に気をつけながら、

非麻痺側の手で包丁を使って調理します。

野菜は、まな板の上で動かないように動きを観察しながら切ります。

退院後、初めて作った煮込みうどんは温かくて美味しい◎

クライアントさんの心が満たされた瞬間です!

これからの生活で、調理にも意欲が湧いてきたとのこと!

入院中は、退院後の生活がイメージできなかったとのことで、

セラピストが進めた調理練習も拒否していたそうです。

今になって練習しておけばよかったと一言。

食事動作に限ったことではありません。

最近は、掃除機での掃除、庭の草抜き、ゴミ捨ても

自力でこなすようになってきたとのことです。

リハビリを進めるにあたって、

身体機能の改善や向上を望むことはもちろんです。

その先には、生活動作や趣味活動、社会参加など、

身体機能を活かすステージと結びついていることを

しっかり捉えることが大切です!

また、関わるセラピストは、単に動作の確認や練習をするのではなく、

生活のイメージを持てるように工夫することが必要です。

何もより、自分の生活を自分で切り開く、

その気持ちが大切です。