脳卒中って本当はどんな病気?

 

 

現代病の一つである「脳卒中」ご存知だと思いますが、

 

脳卒中とはどんな病気でしょうか?

 

大体の方は

「脳の病気」と答えると思います。

 

では、

脳梗塞脳出血と聞くと、

どんな病気でしょうか?

 

脳梗塞は脳の血管が詰まる病気

脳出血は脳の血管が破れて出血し、脳が障害を受ける病気

と、知っている方も多いと思います。

 

では、脳卒中とは何が違うのでしょうか?

 

また、くも膜下出血脳溢血(のういっけつ)という言葉も聞きますが、

どんな病気でしょうか?

 

病気専門の言葉が出てくると

わからない言葉が多いですし、

言葉も似ているので、

違いを説明するとなると混同してしまうことも多いと思います。

 

医療専門職の方はこれらの違いは知っていても、

患者様や家族の方にわかりやすく説明するとなると、

言葉を選んで考えてしまうこともあると思います。

 

今回は基本に戻って、

脳卒中とはどんな病気なのか整理して、

シンプルに伝えていきたいと思います。

 

また、それぞれの特徴や最近のトピックスなどを

紹介していきます。

 

 

脳卒中とは?

 

語源ですが、脳卒中の

「卒」は、突然、にわかに、あわてる様子を表し、「中」は、あたる、中風の意味があります。

漢方用語で、「卒中」は「突然の仮死状態(死んだようになること)」を意味するようです。

つまり、「脳に突然あたりがあり、倒れる」ということだそうです。

 

“脳卒中とは、突然に発症する脳血管の障害(閉塞もしくは破綻)により、

中枢神経の機能が障害される疾患である“

(脳卒中理学療法の理論と技術より引用)

とされています。

 

つまり、

突然に起こる脳の血管の問題で、

血管が詰まったり破れて出血し、

脳の働きが障害される病気のことを指します。

 

では、どんな特徴があるのでしょか?

 

重い話ですが、

 

日本人の死亡原因として、がん、心疾患に次いで第3位の病気です(2017)。

 

介護の面で考えると、介護が必要になる病気の第1位です。

 

症状として、意識障害、運動障害、感覚障害、バランス障害、高次脳機能障害などがあり、起きる、歩くなどの基本動作や、食べる、着替える、排泄するなどの生活動作に制限を引き起こしやすい病気です。

 

本当に予防と治療が大切になる病気です。

 

 

脳卒中の分類と特徴

 

脳卒中が脳血管の病気を指しますが、

脳梗塞、脳出血とどのように区別されるのか、

整理してみます。

 

脳卒中はどのように分類されるのでしょうか?

 

大きく分けて2つに分かれます。

 

一つ目は、

脳血管が破れて起きる出血性の脳卒中です。

 

出血性の脳卒中には

脳の中で出血する「脳出血」

 

脳と脳を覆っているくも膜の間で出血する「くも膜下出血」があります。

 

どちらも脳の血管の出血ですが、

発生する場所によって分かれるわけですね。

 

 

二つ目は、

脳血管が詰まったり閉じて、血液の酸素栄養が脳にまわらなくなる

虚血性の脳卒中です。

 

よく聞く

「脳梗塞」です。

 

完全に詰まっていなくても、

酸素栄養の不足などで起こり、

24時間以内に症状が消える「一過性脳虚血発作」

 

脳の血管が詰まったり閉じる脳梗塞があります。

 

 

虚血性の脳卒中は、近年徐々に増加しており、

脳卒中全体の約7〜8割を占めています。

 

これらの二つは病態が異なるため、

当然治療法も異なってきます。

 

ケースのよっては、出血と虚血が合わさることがあり、

出血性脳梗塞と診断される場合もあります。

 

血の流れが悪くならないようにした方がいいのか、

血が流れすぎないように止血した方がいいのか

医師の的確な判断と適切な治療が要求されます。

 

 

出血性脳卒中の特徴

 

では、脳出血とくも膜下出血は

どのような特徴があるのでしょうか?

 

脳出血

 

徐々に出血が広がる場合と一気に出血が広がる場合があります。

どちらも出血により脳を圧迫し機能障害を引き起こすため、

注意が必要です。

出血量が多い時は、血腫を取り除く手術をすることがあります。

 

 

くも膜下出血

 

主に血管にできたコブの破裂で起こるため、くも膜下で勢いよく出血します。

そのため、激しい頭痛、嘔吐、意識障害が起こるのが特徴です。

破裂した血管部を処置するために、カテーテルや開頭して手術を行います。

 

どちらの出血も、

早期の治療とリハビリテーションが大切になります。

 

 

脳梗塞の分類

 

虚血性の脳卒中である脳梗塞は、

病型により

さらに3つに分類されます。

 

アテローム血管性脳梗塞

 

一つ目は、

アテローム血管性脳梗塞です。

 

これは、血管の中で血の塊(血栓)が成長して血管を閉塞して起こります。

 

心原性脳塞栓症

 

二つ目は、

心原性脳塞栓症です。

 

その名の通り、

原因が心臓にあります。

 

心臓や近くの動脈に血栓ができ、それがはがれると血流に乗って

脳の中の血管を詰まらせる脳梗塞です。

血栓の原因となりやすい心房細動が起こっていることが非常に多いです。

 

 

ラクナ梗塞

 

三つ目は、

ラクナ梗塞です。

 

ラクナとは小さな穴を意味する

 

意味の通り、小さい梗塞を指し、定義では1.5cm以下のものを指します。

梗塞する血管も、主要な太い血管ではなく、

そこから枝分かれする0.04〜0.5mmの細い血管(穿通枝)の梗塞です。

 

感覚障害や片麻痺などの運動麻痺を伴うことがありますが、

病巣が小さく、

意識障害や失語・失認などの高次脳機能障害は無いものを指します。

 

 

侮れないラクナ梗塞

 

ラクナ梗塞は病巣も小さく

比較的症状が軽いから安心だ、

と思ってしまいますよね!?

 

確かに症状が軽くその後の経過も良い方が多いですが、

 

侮れません!

 

実は、細い血管のため詰まりやすく、

血管の詰まる場所によって症状の重さが違うため

注意が必要です。

 

血管の先で詰まった場合よりも根元で詰まった場合の方が

ダメージを受ける範囲が広くなるため、症状の重くなります。

 

特に根元で詰まり、症状が進行して増悪するものをBAD(Branch Atheromatous Disease)といいます。

 

病巣は小さくても感覚障害や運動麻痺が重く、

後遺症を残すことも多いため、

油断せず、症状を注意深く観察することが大切です。

 

 

脳溢血とは何か?

 

お年寄りの会話で、

「脳溢血になった」と聞くことがありますが、

脳溢血は昔からある言葉です。

 

脳溢血とは何でしょうか??

 

実は私もよく理解してませんでした。

 

「脳溢血」の「溢」は、あふれること、いっぱいになることを指し、

「脳の中に血液があふれでること」を言うので、

一般的に脳出血のことを指します。

今は、脳梗塞、脳出血が一般的な呼び名になっていますから、

聞いたことが無い方も多いのでは無いでしょうか?

CTやMRIが発展する前は症状を区別することが難しかった時代だったでしょうから、

出血する概念はあっても、梗塞する概念はなかったのかもしれません。

 

 

最近のトピックス

 

最後は、最近の脳卒中の治療について、トピックスをちょっとだけご紹介します

 

病気の動向

 

脳卒中データバンク2015によると、

脳梗塞は増加傾向、脳出血は減少傾向、くも膜下出血は横ばいとなっています。

近年の生活習慣の変化による生活習慣病の進行と、

強力な降圧剤が使われることが原因といわれています。

 

 

脳梗塞の急性期治療について

 

脳梗塞急性期の治療法としてt-PA(組織型プラスミノゲン・アクティベータ:アルテプラーゼ)の静注による血栓溶解療法の対象患者が

発症後3時間から4.5時間に延長されました。

(治療法は症状により医師の判断にて異なります)

 

 

再生医療について

 

「脳梗塞患者を対象として自家骨髄幹細胞移植治療(治験)の開始」

(脳梗塞への直接投与法での再生医療)

国立大学法人北海道大学
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

まだ、治験の段階であり、全ての脳卒中の方が対象ではありませんが、

近い未来の治療の中核を担う日も

遠くないかもしれません。

 

 

まとめ

今回は、脳卒中って本当はどんな病気?として、

・脳卒中とは?

・脳卒中の分類と特徴

・出血性脳卒中の特徴

・脳梗塞の分類

・侮れないラクナ梗塞

・脳溢血とは何か?

・最近のトピックス

をお伝えしました。

 

 

一言に脳卒中といっても病態は様々です。

より正確な情報を得て、

的確な判断と行動がとれるようになるためにも、

病気を整理し、理解することが大切ですね。